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中村 幸弘さん:ポジティブフィードバックで自分らしさを極める

Hirotaka Nakagawa

2023年3月22日

株式会社NTTドコモ、経営企画部 新事業開発室 担当部長の中村 幸弘さんは、初期から mmhmm を活用している mmhmm ヒーローのお一人。長年 IT 業界の法人営業をされてきた中村さんですが、マーケティングを経て、現在は新しく始まったサステナビリティ推進の中で、新事業開発としてカーボンニュートラルに向けた取り組み「カボニュー」をリードするなど、先進的な課題に取り組まれています。

そんな中村さんに、今後の法人営業のあり方と mmhmm がそれに貢献できることについて、お話を伺いました。

mmhmm と出会ったきっかけは?

私は 20 年以上営業現場でやってきたんですが、3 年ほど前にマーケティングの仕事をすることになったんです。客先に行くことはなくなりましたが、提案などで営業に同席してオンラインでプレゼンをすることもありました。ビデオ会議で私が一番嫌だったのが「画面投影します」「資料共有します」です。いつも思うんですけど、その瞬間にプレゼンテーションじゃなくなるんですよね。資料中心になってしまうんです。

スタートアップやベンチャー企業相手では短い時間のピッチをすることも多いです。自分の場合、大掛かりな準備をせず、限られた時間の中で瞬時に考えながら、お客様の話を聞いて臨機応変に話すのが得意だということに改めて気づきました。そういう私の強みに合ったツールを探していましたところ、mmhmm はこれにぴったりで、実は mmhmm を使うために初めて Mac を買ったほどです*1。

*1:mmhmm ベータ版は、当初 Mac 版のみの提供でした。現在は web 版を提供するほか、mmhmm デスクトップ版として Mac 版および Windows 版があります。

マニュアルを見ずに自分で試行錯誤しながら使うのが好きで、最初は機能を全部使ってごちゃっとした感じのプレゼンになったのですが、一通り使ってみると、どういうところでどの効果を使うかなど、「タイミングがすべてだ」とわかってきました。

ウェブ会議を活用した営業については、どうお考えですか?

「営業はやっぱり客先を訪問しないとだめだろう」「デジタルに自分たちの牙城を取られる」という人もいると思いますが、私はオープンに考えています。でも、テクノロジーはあくまでも手段であって、目的ではありません。最新ツールを見せびらかすような独りよがりな営業では、セールスにつながらないでしょう。むしろ、ツールはできれば隠したい。「ツールを使おう、使いこなそう」と、手段が目的化しがちで、実際そういう人は少なくないと思いますが、ツールは「自己表現を実現するために活用するもの」であるということを広く伝えたいです。

コロナ禍後の流れとして、ウェブマーケティング、そして、インサイドセールスが注目されていますが、お客様から問い合わせがあったからといって、すぐセールスに繋がるわけではありません。機械的な回答なら、将来的には AI で代替されてしまいます。今までのやり方をもう一度思い出してみてほしいです。対面でやってきたことは、お客様の懐に入って聞き役に徹した上で、まず信頼を得てからこちらの話を聞いてもらう、ということ。そのカギは関係性が『フォーマル』なものから『カジュアル』なものになるということだと思います。関係性をカジュアルなものにさせることは、結局アイスブレイクの連続だと思うんですよね。究極的には、「モノを売るのではなく、自分を売り込む」ということです。

mmhmm を使うと、その場でスライドを作ったり、話に合わせた背景変更などを簡単にできます。また、これまでオンラインでは伝わりにくかった表情、声のトーン、話す速度といったノンバーバルコミュニケーションが、mmhmm なら、自分の映像を常に表示しながら話ができるので、より対面に近い形で可能です。これによって、フィールドセールスの役割をオンライン化できるんです。

青くなった男性が「画面共有」切り替えなしを説明

対面とオンラインで違うのは、相手を見て喋るだけではなく、自分の映像も見ながら喋るということですね。私も最初は「自分酔い」しました(笑)。でも mmhmm で録画をしたものを見返してみると、例えば「ああ、この部分に何秒かかっている」というのが分かるんです。そして、「ここをもっと短くしよう」などと、ブラッシュアップすることができます。

また、自分のプレゼンテーションを見直すことで、それが自分自身へのポジティブなフィードバックになり、より一層自分らしさを自然に表現できるようになります。mmhmm は、自分の良さをさらに引き出せるツールではないかなと思います。

自分自身の録画したプレゼンを見ると、悪いところにばかり目が行き、自分の良さをなかなか自分で気づけない人も多いですね。

大事なのは自己肯定感とか自信だと思うんです。AI やテクノロジーが進化を続けて、人間の作業が必要なくなってくると、時間に余裕ができて、自分の内面を見つめ直してもっと自己を表現できるようになる。そういう時代が来ています。そうなると、自分へのフィードバックができるツールが必要だと思っていて、それは特に営業に必要じゃないかなと。私はよく「自分らしい営業しろ」と言うんですが、できない人が多い。メディアや、テレビドラマなどで見るバイアスがあって、紋切り型の挨拶をする。「お客様の課題を教えてください」と言って、そんなに簡単に課題を教えてくれる人なんていません。

「自分らしい営業」は教えられるものではなく、自分で解いていくしかない世界。真似するだけではできません。もし教えられるとしたら、どういったところを磨くべきか、といった「型」でしょうか。先ほど話したように、関係性をフォーマルからカジュアルなものにして、自分を好きになってもらい、自分を信頼してもらい、「あなたから買いたい」と思っていただくようにすることですから、最終的には、人間同士のコミュニケーションをどう豊かにしていくかという話です。

mmhmm を使ってきて気づいたのは、自分が一番のコンテンツであり、武器なんだ、ということ。「インサイドセールスの時代だ」と言う人もいますが、人の懐に入っていくようなセールスマインドは、デジタルにも拡張できると思います。

今はサステナビリティという分野で全く違う活動をされていますね。

企業も ESG 経営*2などにシフトしつつありますが、営業とは真逆の部署で CSV*3 的な動きで環境問題に向き合っています(笑)。パートナーの方々は DX(デジタル・トランスフォーメーション)を進めていくような業界ではないので、同じやり方で通用するのか?と思いましたが、普通に mmhmm のような最先端ツールをさりげなく使っています。例えば、見せたい映像を背景にして話をしたり、黙ってる時はさりげなく白黒にしたり、グリーン系の話では最後自分の映像をグリーンにして終わったり。ピーク・エンドの法則で、最高のタイミングでいかに人の印象に残せるかを常に考えています。

議論中の男性

私は我流営業スタイルでなんでもやってしまうタイプですが、そういう人は一握りのように感じています。多くの人にとっては、営業テンプレートやロールモデルを模倣するのが一般的です。でも、AI に代替されない「人間による営業」に大切なのは、自分らしさ。自分のいいところを理解し、アイデンティティを高められるように、先ほどもお話ししたように、自分自身へのポジティブフィードバックを続ける…これによって自分らしさを覚醒させることができると思うんです。mmhmm はこのフィードバックを助けてくれる機能が満載です。また本番時には、例えば定型の商品説明やデモなどは事前に録画した自分自身のプレゼンを投影しておいて、その間に相手の反応を見ながら次に話すことを考えたりもできる。

録画した自分は、自分の『デジタルツイン』みたいなものです。そして、自分と自分で戦うというか、修行し合うことができる。自分らしさを極めるために最高なツールだと思います。

*2 ESG 経営:環境(Environment)、社会(Society)、管理体制・コーポレートガバナンス(Governance)の観点を重視した経営スタイルのこと

*3 CSV:Creating Shared Value の略で、「共有価値の創造」の意味。社会のニーズや問題に取り組むことで社会的価値を創造し、同時に経済的価値が創造されるというアプローチ。アメリカの経営学者マイケル・ポーターにより 2011 年に米ハーバード・ビジネス・レビュー誌に掲載された論文で提唱された。CSR と混同されるが、企業は営利活動により社会に対して公害などの負のインパクトを与える存在であり、その罪滅ぼしとして CSR(企業の社会的責任・Corporate Social Responsibility)活動を行うのではなく、CSV では、企業は社会と一体になり、双方にとってプラスとなる価値を創出する存在になるべきだとする考え方。

(このインタビューは実際の発言を編集したものです。)